近頃ビジネスシーンで良く耳にする言葉に「手段の目的化」があります。
「手段の目的化」とは、目的を達成するための方法であるはずの手段それ自体について、
いかに上手にできたか、いかにインパクトがあるかと評価し、
その達成が本来の目的とすり替わってしまうことを言います。
では子育てで起こる「手段の目的化」とはどのようなものでしょうか。
子どもは「手段を目的化」する天才です。
夕方の小学生組・保育園組がそろった忙しい時に
一番下の子が「ぎゅうにゅうちょうだい」というので、
手の空いている姉たちに頼もうとすると
「ママに」と言います。
夕食の支度や小学生の宿題のフォローなどをしつつ、
隙を見て一番下の子に牛乳を注ぎます。
三男はにっこりとしています。
そうするとだいたい四番目次女が私もと言います。
手に握りしめられたコップについでに注ぎます。
牛乳がコップに注がれるという目的を達せられた彼女は、
自分が入れたかった~と怒ります。
そしてやっと夕飯が出来上がり机を見ると、
2つのコップとも牛乳が残ったまま。
こんなシーンは子育て中のみなさんなら
週に2・3度は経験されるのではないでしょうか。
どうしても手が離せない時は、
ママじゃなくてねえねえ達にお願いすれば
ずっと待たなくてもすぐ飲めるんだよと
料理の手を止めずに説得を続けることがあります。
そうすると本当にのどが渇いている時などは、
案外サッサと「ねえねえに」と言ったりします。
「手段が目的化」が起こる背景にあるのは、
目的が不明確だったり、本当は別のことだったり、
容易に達成することが難しかったりすることで
手段が思い通りに行っているかどうかという
より些末な達成で満足しようとする心理ではないでしょうか。
「手段が目的化」しないためには
あなたのしたいことは何だっけ?と横で問いかける、
そんな存在が必要なのかもしれません。
そしてそれは子どもにとってだけでなく、
大人にとってこそ必要なのかもしれません。