ビジネスシーンだけでなく、家電や住宅などプライベートシーンでもよく耳にするようになった「IoT」(Internet of Things)技術。
子育て業界にももちろんその波は押し寄せている。
モノ・コトのモノでいえば、ベビーテック(baby×Technology)という切り口で、昨年(2019年)3月にベビー用品大手のピジョンが5つの大学に未来のベビーカーのアイデアを競わせるベビーカソンを実施し、「IoTベビーカー」の登場がより現実的なものとなったようだ。
一方、コト消費でいうと、こちらも昨年10月に総務省より第4次少子化社会対策大綱策定のための検討会(第5回)の資料として、「 AI・IoT等を活用した子育て支援の取組 」というものが出されている。
この取り組みは、地方公共団体をはじめとした各地域の事業所にIoTの実装を促進し、得られた情報をAIを使ってマッチングさせるというものである。
モノに関してもコトに関しても、テクノロジーの進歩で時間も手間もかけず、より効率的に情報が手に入る時代となっていく。
子育てに忙しいママパパにとって、時間や手間は削減できるに越したことはない。ただ一方で、子育てにとって時間と手間が本当に削減すべきものなのか、はまた別の問題であると感じる。
ベビーカーに乗っている赤ちゃんがどんな表情をしているか、信頼できる保育施設がどこなのか、それを自分の目と足で確認する時間と手間を、自分自身の価値観の中でどの優先順位に位置付けるのか。
働き方改革で長時間就労が見直され生み出された時間、IoTによって子育てに関する情報収集が改善され生み出された時間、医療技術の進歩で寿命が延び生み出された時間をどう使うのか。
ひとつの課題が解決すると、次の課題がまた出現する。